お身内にご不幸があった時に、今あるお墓に故人の戒名を追加で彫ることを、お墓の追加彫りと言います。何度もあることではないですし、誰かに教わる機会もあまりないでしょう。いざ直面した時に、詳細についてよくわからなく、悩まれる方も多いに違いありません。ここでは、お墓の追加彫りについて詳しく紹介していきます。
お墓の追加彫りを行うタイミングについて
故人の戒名をお墓に新たに彫ると言っても、一体いつ、どのようなタイミングで行うのでしょうか。まず、時期としては正式に決まりがあるわけではなく、おおよそ故人の納骨式までに行うことが多いです。追加彫りは、一般的に墓石の側面、または墓誌に彫刻されるものです。基本として彫刻されるものは、故人の戒名、没年月日、没年齢となります。
墓石に追加彫りをする場合、次のような手順を参考にしてください。まず、お墓を建てた時の石材店に問い合わせます。石材店が墓石に彫刻する場合、現地のお墓で作業することもあれば、墓石を一旦持ち帰って、工場などで作業することも考えられます。そのため、日程の余裕をもって依頼することが大事です。少なくとも1か月前には連絡し、予約するようにしてください。
石材店に依頼する時に必須な情報としては、故人の戒名、没年月日、没年年齢、また、俗名も伝えておく必要があります。更に、お墓の住所や、石のどこに追加彫りをするかも伝えてください。先ほど申し上げたように、追加彫りには、石材店の工場で行う場合もありますので、工場に運ぶ場合は、魂抜きという法要が必要です。お墓は、魂の入った仏具でありますので、普通の荷物のように勝手に移動させることはできないのです。菩提寺の僧侶に読経してもらい、その後の運び出しになりますので、そのような時間も考慮して、日程を決めてください。また、追加彫りが終了しお墓を元に戻してから、今度は魂入れの法要を僧侶に行ってもらいます。
お墓の追加彫り費用はいくらくらいかかるの?
追加彫り費用としては、だいたい1人分で2万〜5万が相場です。更に、追加彫りをするお墓によっては、石材店が必要な機材や道具を持ち込むことを禁止している所もあります。これは、地域にもよりますが粉塵や騒音を避けるためであり、霊園や墓地の決まり事です。その場合は、墓石を運搬する必要があります。石材店が墓石を工場などに運搬する場合、別途運送料や、お墓を取り付ける追加料が発生しますので、事前に石材店に費用をご確認ください。
また、お墓を移送する場合、僧侶への魂抜きや魂入れの依頼が必要になります。その場合、お布施もご用意ください。また、宗派によっては、お墓の現場での彫刻の際にも法要を必要とする寺院もありますので、直接寺院へ確認してみてください。お布施の相場として法要1回につき、1万〜5万をご準備いただければと思います。また、お布施に加えて、お車代5,000円〜1万円も忘れないでください。また、石の側面にスペースがなく、追加彫りができないこともあります。特に、先祖代々の長い歴史のあるお墓ではスペースがないことも十分考えられます。その際は、墓誌を建て、そこに彫刻する方法があります。墓誌はお墓ではありませんので、追加彫りの際に僧侶による魂抜きや魂入れなどの法要はいりません。
墓石に故人の戒名や没年を彫刻する追加彫りは、慣習としてその工程に決まり事や守らねばならないことも多々あります。しかし、ご先祖様から継承されてきた記録であり、一族の歴史の一環となるものです。また、そこに自分の名前も連なり、受け継がれていくことを考慮に入れ、ぜひ滞りなく進めさせるようにご準備ください。