突然ですが、お墓がたくさん並んでいる場所のことを何と呼ぶかご存じでしょうか。ある場所は「霊園」と呼ばれていたり、またある場所は「墓地」と呼ばれていたり…お墓があるのは同じですが、この2つに何か違いはあるのでしょうか。本コラムでは違いを解説していきます。
霊園墓地と寺院墓地の違い
「墓地、埋葬に関する法律(墓地埋葬法)」において、墓地とは「お墓を建てる場所として都道府県知事の許可を得ている区域」と定められています。つまり、広義的には墓地も霊園も同じ、お墓を建てる場所だということになります。では、全く違いがないのかというと、そういうわけではありません。墓地は、いわゆる「霊園」と呼ばれる霊園墓地と、「墓地」と言われてイメージしやすい寺院墓地に分かれています。
霊園墓地は、寺院に属していない墓地のことを指します。都道府県や自治体、自治体の指定業者によって運営される公営霊園と、公益法人や宗教法人によって運営される民営霊園とに分かれていますが、法律による定義は特にありません。
寺院墓地はその名の通り、寺院に属している墓地のことです。寺院の境内にお墓が建てられており、維持管理や運営を行っているのも寺院になります。こちらにお墓を建てると、その寺院の檀家になる場合が多いです。
それぞれのメリットとデメリット
公営霊園の場合
公営霊園のメリットは、永代使用料や管理費といった費用を比較的抑えられる点と、宗教や宗派、国籍などによる制限がない点です。公営ですので、倒産などで霊園がつぶれてしまう可能性が低く、安心して利用することができるのもポイントです。
デメリットとしては、継承者を必要とする点と、運営している自治体に住民票がなければ利用できない場合が多いといった点が挙げられます。多くのところが抽選となっており、住民票がなければ抽選の申し込みすらできません。もちろん、人気なところは応募が集中するため、抽選で外れてしまった場合は利用ができません。
また、区画や墓石における制限が設けられている場合があります。希望するお墓を建てられない可能性があるので、凝ったお墓にしたいような場合は事前に確認しましょう。生前購入ができない点も要注意です。
民営霊園の場合
民営霊園のメリットは、公営と同じく、宗教などによる制限がない点が挙げられます。公営と違い、住民票の有無が関係ない点と、区画や墓石における制限がない点もメリットです。公営と違い、誰でも自分の好きなお墓を建てることができます。また、永代供養墓といった園内の施設や、送迎バスのようなサービスが充実しているところが多く、遺族が利用しやすいというメリットもあります。
デメリットとしては、場所や形式などでも変わりますが、公営と比較して価格が高い点が挙げられます。
寺院墓地の場合
寺院墓地のメリットは、檀家となることで手厚い供養を受けられる点です。葬儀などの関係で困ったことがある場合に、僧侶に相談にのってもらうこともできるようになります。
デメリットは、檀家となることが条件の場合が多いため、檀家としての努めが必要になってくる点です。寺院の行事活動に参加したり、寺院の修繕費を負担したりすることが必要になります。また、霊園と違い、その寺院と同じ宗派に限定されている場合がほとんどです。基本的にお墓を継承していかなければならず、永代供養墓があるかどうかは寺院によります。墓石の大きさやデザインも決まっていることが多いです。
まとめ
霊園墓地も寺院墓地も、それぞれ違った良さがあります。家族や親族と一緒に内容をしっかり調べ、自分たちに合った場所を選ぶようにしましょう。