新型コロナウイルス感染症の流行から3年が経とうとしていますが、このコロナ禍でお墓参りの事情も大きく変わってきました。お墓参りと言えば、実家に帰省したついでにご先祖様にご挨拶をするのがよくある形式ですが、インターネットが発達した現代社会ではお墓参りにもデジタル化の波が到来しつつあります。今回の記事では、そんなお墓参りのデジタル化について解説していきます。
アナログお墓参りとデジタルの融合
コロナ禍で帰省が難しくなったことを受けて、都会の人は田舎の実家にあるお墓に物理的に辿り着くことが困難になってしまいました。そんなときに有効な手段として、ZOOMなどの双方向テレビ電話ツールを活用したお墓参りが挙げられます。これは、実家に暮らす祖父母や親戚と都会に暮らす親族が、オンラインで同時にお墓参りをしてコミュニケーションを取るという方法です。いわば、アナログなお墓参りとデジタルの併用です。
ただし、このZOOMを用いた方法は、そもそも祖父母がこうした双方向テレビ電話ツールの利用に慣れていないと難しいことが難点と言えます。実際、若い世代でも、学校や企業などで当たり前に使われるようになる以前は、ZOOMの使い方に戸惑いを覚える人が多い状況が続いていました。しかし、既にマニュアルや使い方の解説動画もYouTubeなどの動画共有サイトで広く一般に公開されているので、習得するのがどうしても難しいということはないのではないでしょうか。
バーチャルお墓参りってどんなもの?
また、完全にオンライン化されたお墓参りについても紹介します。完全にオンライン化されたお墓参りとはどういうことかというと、お墓そのものをバーチャルリアリティ上に置くことになります。バーチャルとは仮想世界のことで、ネットワーク上の世界を意味します。現実世界、つまりリアリティとしてお墓を置いておくことは、管理やお墓掃除が大変なことに加え、固定資産税などの費用も無視することはできません。バーチャルお墓参りでは、こうしたリアリティにお墓を置くことによるデメリットをすべて解決することができる、画期的な方法であると言えます。
また、お骨を維持管理している寺院にオンライン決済で維持費用を支払えるシステムになれば、バーチャルなお墓はより便利なものになるでしょう。オンライン上には故人の写真や映像、葬儀の際の模様などを保存しておくことができ、いつでも故人に思いを馳せることができるという利便性を兼ね備えています。遺品整理をしていく上でも、アルバムなどをデジタルデータ化して、バーチャルお墓にアップロードしておくことで、紛失するリスクも気にしなくてよくなります。このように、バーチャル化することで、次の世代にとってはお墓の管理や維持修繕の負担が根本的に低減されることになるでしょう。
デジタルお墓参りの意義
お墓参りといういわゆる宗教行事にデジタルを取り込むとは何事だという批判の声もあるかもしれませんが、お墓参りがデジタルになろうとも大事なのはご先祖様の感謝と供養の気持ちであると思います。これは、従来通りのお墓参りにおいてもただ単にお盆だから何も考えずに手を合わせるのは筋違いなのと一緒で、時代の進歩と共に供養の仕方も多様化したということに他なりません。こうした点において、デジタルお墓参りはとても意義ある供養の仕方であると言えます。
お墓参りにも、様々なスタイルやトレンドがあります。アナログなお墓参りにとらわれることもなく、反対に何が何でもデジタルにしがみつく必要もなく、個々のご家庭の状況に合わせてお墓参りを行うことが適切であると言えるのではないでしょうか。そうしたことを踏まえて、ネットワーク社会の利点を活かした、オンラインやデジタルの力をお墓参りに取り入れることも、より良いご先祖様への供養になるのだと思います。