お墓参りの時期になると、ご先祖様へのご挨拶とともに、お墓掃除をされるのではないでしょうか。お墓掃除と言えば、水を掛ける程度という場合もあれば、拭いて汚れを取る場合もあるでしょう。今回はそんなお墓掃除について、やってはいけないことをまとめました。
お墓掃除のタイミングはいつが良い?
お墓掃除と言えば、お盆時期にお墓参りをするついでに手短にしてしまう方も多いと思いますが、一日のうちでは午前中に行うのが良いとされています。これは、他のスケジュールよりもお墓参りを一番早く行うことで、ご先祖様への敬意と尊敬する気持ちを表するためです。また、朝のうちにお墓参りとお墓掃除を行ってしまうことで、私たちの気持ちも清らかに整ったものにしてくれるといったメリットがあります。
お墓の掃除は傷に注意!
お墓の掃除を行う上で重要なのは、墓石を傷つけないようにすることです。他の石材と同様に、墓石も磨けば磨くほどきれいになると思われる方もおられるかもしれません。それは誤った認識であると言えます。なぜなら、詳しくはお墓につく汚れの解説で述べますが、お墓はあらかじめ製造の段階で本磨きをかけられており、適切なコーティングを施されているからです。このコーティングされた状態の墓石を強く磨くことは、墓石を傷つける原因となってしまいます。
また、家庭用の洗剤を付けて洗うこともしてはいけません。墓石用に特化した洗剤が市販されているので、ホームセンターなどで入手して、こちらを使用すべきです。墓石に家庭用の洗剤を付けることは、汚れを落とす以上に墓石表面のコーティングを傷づける恐れがあるためです。墓石用の洗剤を使う分には、こうしたコーティングは適切に保たれるので心配はいりません。
さらに、金属製のタワシでこすってはいけません。タワシは昔からある台所用品で、どの家庭にもあるお掃除用品と言えましょう。ですが、特に金属製のタワシは墓石の表面に大きく傷を付ける恐れがあるため、絶対に使用してはいけません。墓石を洗う際には、ぞうきん掛けで使用する程度のやわらかい布で、優しく丁寧に拭いてあげるべきです。お墓に眠るご先祖様も、優しく拭いてもらえるほうが心休まることは言うまでもないことです。
お墓につく汚れ
お墓を掃除するのに適した方法とやってはいけないことを踏まえて、お墓の素材の特徴とお墓につく汚れについておさらいしておきましょう。
お墓は機械で切り出した石材から作られています。本磨きで触ったことのある人には分かると思いますが、墓石はツルツルに仕上げられているのが特徴です。このツルツルとした表面をむやみやたらにゴシゴシと磨くことは、お墓を傷つけかねません。お墓を磨く際には、丁寧に行う必要があります。
では、お墓につく汚れにはどのようなものがあるのでしょうか。お墓は野ざらしの状態にされていることがほとんどです。それはつまり、雨風や砂ぼこりにさらされているということに他なりません。そのため、表面には水垢や黒ずみといったお風呂に出るような汚れ、カビやコケといったキッチンなどの水回りに出やすい汚れが蓄積されています。こうした汚れを取り除くには、基本的には水回りと同じような作法でお掃除すれば良いということになります。
また、経年劣化による汚れも無視できません。雨風にさらされている状況にあるお墓は、自然の力で経年劣化をしてしまうのです。根本的に解消するのは難しいですが、適切なお手入れをしていくことで、致命的な傷は避けることができると言えます。
同じお墓と言えども、様々な素材で作られたものがあると思います。その上で、適切なお掃除方法とやってはいけないことを把握して、きれいなお墓を維持していきましょう。