お墓参りは、お盆やお彼岸に行くご家庭が多いことと思います。しかし、大切な家族や親戚、友人が亡くなられた時、故人を偲び、命日にお墓参りをする方もいらっしゃると思います。それでは、命日とお墓参りの関係はどうなっているのでしょう。亡くなられた方の供養だけでなく、遺族にとって悲しみを癒す意味もある、命日のお墓参りもとても大切なことなのです。
命日はなぜ重要なのでしょう
まず、知っているようでつきつめると意外と知らない命日について考えてみましょう。命日とは、故人が亡くなった日のことです。これは、仏教用語になります。また、命日には、祥月命日と月命日があります。故人が亡くなった同月、同日を祥月命日といい、それ以外の月の同日を月命日といいますので、祥月命日は年に1回、月命日は年に11回あることがわかります。それでは、命日という言葉には、どのような意味があるのでしょうか。いのちの日、と書いて命日。それは、とても重い響きがあります。
仏教では、故人が亡くなった日を命の日、つまり、命について考える日としているのです。命は、脈々と受け継がれ、現在の私たちが存在しています。決して独りで急に生を受けた人はいません。ですから、仏教では、遺族に「あなたの命について考えなさい。大切な命であるご先祖さまからの贈りものについて今一度、思いを馳せなさい」という意味も込めているのです。
大切な命日のお墓参りについて
このように、仏教では亡くなった方の命日を大切にし、亡くなった方を偲び供養することと、遺族や親しかった友人、知人がそろって命への感謝の思いを祈りに込めてお墓参りをすることは重要視されてきました。
また、命日に墓前や自宅に僧侶を招き、お経を読んでもらうご家庭もあることと思います。一般的に、祥月命日に僧侶を呼ぶなどの法要を行い、年に一度のことですので、月命日よりも時間や手間をかけて亡くなった方の供養をすることが多いです。祥月命日の法要は、故人が亡くなられてから、1年目、2年目をそれぞれ1周忌、3回忌としています。その後、7回忌、13回忌と、3、7が付く回忌を目安に法要を行うのが最も一般的です。3、7は仏教で大切な数となります。3は両極端に走らず、中道の生き方を意味し、7は六道輪廻を超えるという意味があると言われているからです。
また、月命日に法要を行うことはあまりなく、月命日には、ご仏壇の清掃や故人が生前好んでいた食べ物やお花をお供えし、感謝を込めて手を合わせます。しかし、遠方に住んでいる場合など、家庭の事情で命日に毎回、お墓参りをすることが困難な場合もあるでしょう。また、読経のためのお布施や日程調整も難しい状況も考えられます。近年は、急速に核家族化が進み、お墓のある実家から離れ、都市に移り住む世帯が増えています。どうしても決まった日にお墓参りができないことも現実的に起きてきます。
最近は、3回忌、7回忌までで、その後は法要を行わない方々も多いです。故人との別離に対する心の整理がついた時点で法要を行わないことも選択肢の1つといえます。祥月命日にお墓参りが不可能であれば、先延ばしにするのではなく、命日の前にお墓参りをすることがよいと言われています。それも不可能な場合は、命日にご仏壇をいつもより丁寧に清掃し、お盆やお彼岸にはできるだけお墓参りをしてみてはいかがでしょうか。
大切なことは、やはりお心のあり方です。無理を押して、義務感だけで命日のお墓参りを続けることではなく、ご先祖様を偲ぶ心があり、命に感謝する思いを込めて祈りを捧げることが何よりも亡くなられた方への供養となるでしょう。