新しくお墓を建てた親戚や、親しい友人知人に建立祝いを贈る機会があるかもしれません。お墓はご先祖様や故人を偲ぶ場所であるため、お祝いを贈るというのは違和感があることでしょう。お墓を建てた場合、実は、ケースによっては、お祝い事としてご祝儀を贈ることがあるので、ぜひ覚えてください。
お墓の建立祝いとはなんのこと?
お墓を建てるといっても、人生にそう何度もあることではありません。そのため、お墓の建立祝いと聞いても、どんなことをするのか、どんな準備が必要なのか知らない方も多いでしょう。お墓を新しく建立した時、そのお墓をお披露目する儀式をします。これがお墓の建立祝いです。
それでは、お墓を建てる時とは、どのような時でしょうか。それは、古いお墓を建て替える際や、生前にお墓を建てる場合、納骨のためにお墓を建てる場合などのパターンがあります。その中でも、お墓の建立祝いのご祝儀が必要になるのは、古いお墓を建て替える時と生前にお墓を建てる時の2つのパターンが考えられます。納骨のために新しいお墓を建てる時は、亡くなられた方がいるときになるので、お祝い事としては考えません。
まず、古いお墓を建て替える時には、古いお墓を新しくする場合と、古いお墓を別の場所に移す場合が考えられます。どちらもお祝い事として判断します。また、生前にお墓を建立する際には、大変縁起のよいこととして考えられており、寿陵と呼ばれます。これは、お墓の中にやがて入る方にとって、子孫繁栄や長寿を招き入れることができるという中国起源の思想です。秦の始皇帝もその縁起を担いで寿陵を作りました。
お祝いを渡すタイミングは、生前墓の場合もお墓を建て替えた場合も、開眼法要の会場で手渡します。ただし、お墓を建て替えた時に、納骨式を一緒に行うなど、亡くなられた方がいらっしゃる時には、弔事が優先されますので、建立祝いは行いません。その際には、お祝いは渡さず、御仏前を渡しましょう。
適切な建立祝いはいくらでしょうか?
建立祝いは一体いくらくらい包むべきでしょうか。明確な規定はないものの、一般的に、親族で2万円〜3万円、友人、知人ですと1万円を目安にするとよいでしょう。この金額も地域の習慣や、親族同士の考え方で多少変わる可能性もありますので、臨機応変にお考えください。生前や建て替えの建立祝いの祝儀袋は、お祝い事として慶事用の紅白の水引のもの、更に建立御祝と表書きされたものを使用します。慶事ですので、お札もきれいなものを選んでください。また、納骨式を同時に行うなど、亡くなられた方がいる時には、黒と白の水引の不祝儀袋を用意し、御仏前と表書きされたものを使用します。
お金以外で渡す際には、一般的にお花やお菓子を選ぶことが多いです。お花は華美な色のものではなく、色の薄い花を選ぶとよいでしょう。また、お菓子は日持ちを考え、焼き菓子などで個包装になったものを選ぶのが好ましいです。注意していただきたいことは、納骨式と同時に行われる際や亡くなられた方がいる時には、お金以外の物でのお祝いも渡さないようにすることです。
お墓の建立祝いを親戚や親しい友人、知人に贈る機会というのは、それほど多くはないでしょうが、世代交代をした実家のお墓を都市に移動させる方々や、終活として生前にお墓を準備し、子供たちへの負担を減らそうと考える方々も増えていらっしゃることは事実です。慶事としての建立祝いの作法やマナーを事前に知っておくことで、いざというときに慌てなくてもよいのです。何といっても、慶事ですので、心を込めてお祝いをして差しあげるとよいでしょう。