お墓参りで、ご先祖様に手を合わせ一心に祈ることは、とても心穏やかな時間です。大切な方が眠るお墓は、きれいに保ちたいものですが、いつものお墓掃除で落としきれないのが、お墓にこびりついたコケです。風流でもあるのですが、やはり、気になるものです。そこで、取るのが難しそうな場合でもきれいにコケを掃除する方法をご紹介しましょう。
墓石のコケは掃除しても大丈夫なの?
お墓の石のコケを取ることを躊躇してしまう理由は、ゴシゴシと力いっぱいの大げさなお墓掃除になりそうで、ついつい先送りにしてしまっていること。また、自然経過でついたものをむやみに落としてしまうことが、ご先祖様に対して失礼なのではないかという畏れの気持ちもあるかと思います。しかし、石を痛める洗剤を使用することや、荒々しい方法でない限り、ご先祖様を尊ぶ普段のお墓掃除と何ら変わりなく、昔から行われてきたお墓掃除の一つです。気負うことなく実践してみることをおすすめします。
墓石のコケ掃除に必要な洗剤、道具
コケは土に根を張る植物と違い、胞子で増えます。墓石は一見ツルツルしていますが、実は、表面に細かな穴が無数に空いており、コケの胞子がその中に入り込み、張り付いている状態です。少しスポンジでこすった程度ではなかなか落ちません。
そこで必要になるのが洗剤なのですが、これは、お墓のコケ落とし専用のものを使用してください。ネットなどで安価に素早く手に入れることができます。墓石の変色や劣化の原因になりますので、くれぐれも家庭用の中性洗剤や、カビ取り剤、除草剤などは使用しないでください。作業用に必要な道具としては、まず、専用の洗剤や、やわらかい素材のブラシ、スポンジ、歯ブラシ、軍手、また、ふき取り用の布が挙げられます。洗剤以外は、どの家庭にも日常的にあるものばかりです。通常のお墓掃除の道具にプラスアルファするだけなので、特に改めて購入する必要がないものばかりではないでしょうか。これらが準備できたら、いよいよ実際の作業に入ります。
墓石のコケを上手にきれいにする手順
まず、コケが生えている墓石のほこりを落とすため、静かに水をかけます。次に、ざっと泥やコケを一緒に、軍手や布でこそぎ落します。この時点で、簡単な汚れや、最近できたコケは落ちてしまいます。しかし、ガンコなものには専用の洗剤を塗布し、水を含んだやわらかいスポンジでこすり落とします。お墓の石の文字部分や線香立て、花立てなどの細かな場所は、やわらかめのブラシや歯ブラシなどで汚れを掻き出していきます。
その後、よく汚れを落とすためもう一度全体に水を流し、すべての汚れを流してしまいましょう。最後に、乾いた布でしっかり水気をふき取ってください。注意していただきたいのは、石に傷をつけないよう強くこすりすぎないことです。一生懸命に汚れを落とすことに夢中になり、ついついゴシゴシと強くこすってしまうことがあります。墓石はプラスチックや陶器、普通の石とは違い、特殊なコーティングが施されていますので、強い刺激を与えることは避けましょう。そして、必ずコケ予防のため水分をしっかりふき取ることも大切です。コケが生育する条件である、少しの日当たり、少しの水分、少しの栄養を断つことも最大の予防となります。
コケをきれいに落とすことでお墓がピカピカになり、訪れた人々も気持ちよく過ごせます。また、ご先祖様の思い出話をしながらのお墓掃除は、とてもよい供養にもなるでしょう。集まった親戚たちの晴れやかな笑顔も見えてきます。そして、何よりご先祖様が気持ちよくお過ごしくださる姿も感じられそうです。