お墓や葬儀関連の費用は会社の経費に計上できる?

お墓と経費 コラム

会社を経営されている方にとって、お墓や葬儀関連の費用を会社の経費として計上できるのか、と疑問に思われる方も多いと思います。その答えについて、一概にこれはこうとは言えず、様々なケースによって事情が変わってきます。
今回の記事では、こうしたお墓や葬儀関連の費用を会社の経費として計上できるケースについて解説していきます。

創業者の葬儀など、一部が該当するケースがある

お墓や葬儀の費用を会社の経費として計上が考えられる一番多いケースとしては、会社の創業者の葬儀のケースが挙げられます。創業者はたいてい代表取締役社長や取締役会長として、会社に役員としての法的な立場があることが状況としてあります。このような場合には、お墓や葬儀関連の費用を会社の経費として計上することができます。ただし、お墓や葬儀の際に、会社名と役職名を明示する必要があります。これは、お墓や葬儀が会社により執り行われていることを明らかにするためです。故人名のみは不可です。
注意が必要なのは、お墓や仏具の購入費用は会社として費用を計上できないということです。これらは個人としての性格が強く、法人たる会社の経費としては馴染まないという事情があるためです。なぜなら、会社は役員のものではなく、株主の共同所有物です。これは、株式会社の根本的なその性格によります(有限会社、合同会社は、この限りではありません)。

創業者が法的な会社の役員に該当しない場合は、お墓や葬儀の費用を会社の経費として計上することは困難であると言えます。例えば、相談役や顧問、社友など、会社の役職のみを称しているケースがあります。社長や会長といった役職名は会社が独自に定めたものに過ぎませんので、その会社の取締役でない場合には、会社の人物であるとは言えないのです。そのため、会社からすれば人的関係が無いことになってしまい、このようなケースでは社葬やお墓を会社で建立することは難しいのです。

その他の注意すべき点

他にも注意すべき点があります。それは、会社の代表者が変わるたびに継承者を変更しなければならないということです。これは会社の代表者、つまり代表取締役が、お墓の法的な継承者になっているということです。創業者からレガシーが引き継がれている場合には問題ないと言えますが、後世の経営者から外部資本が入るなどして、前経営者が会社から退陣させられた場合には、お墓の管理を墓じまいされてしまうなどのリスクに留意するべきであると言えます。
これらのリスクを回避するためには、株式会社としてお墓を建てた後に故人の遺族やその子孫にお墓を譲渡してしまうのも方策としてあげられます。要するに、お墓の建立に掛かる費用や土地取得の費用を会社の費用で計上して、その後の管理権を含むお墓のすべての権利を故人の遺族に移してしまうということです。故人にとっても、遺族や子孫に負担を残させないという点で良いと言えます。

そもそも会社で葬儀を執り行うことやお墓を建てるといった行為は、会社内部で個人を讃えることにもつながりかねないので、特に上場企業などでは歓迎されるとは言い難いでしょう。同族経営などのケースなどに限られてしまうかもしれません。ただし、会社を一代で大企業に成長させた功績者や創業者の場合には、会社でこれらを実施することに障壁を持ち得ない場合も多く見られます。

お墓や葬儀関連の費用を会社の経費として計上できるのかについて、可能なのか不可能なのかがある程度分かったと思います。個々の会社の事情や法的な懸念事項も様々なものがありますので、できれば会社関係の法律に詳しい弁護士などに相談するのが最適であると言えます。今回の記事を読むことで、少しでもそうしたお墓や葬儀関連の費用に関する不安や懸念に対してプラスになれば幸いです。

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