お墓の新規建立は、墓石を購入したことで終了ではありません。そのままではご先祖様や故人の魂がまだ入っておらず、墓石はただの石のままと考えられます。では、魂を入れて、本当のお墓としてご先祖様や故人を供養するためには他に何が必要なのでしょうか。それが、別名、御霊入れとも言われる開眼供養です。
開眼供養はいつどんなふうに行うの?その由来は
新しくお墓を建てた場合、お墓を石材店に注文します。そして、完成すると開眼供養を行うのです。実際には、お寺の本堂や購入した墓石のある墓地で僧侶に読経をしてもらう仏事法要となりますが、お墓を新しく建てたご家庭、親族のお祝い事であるとも考えられています。開眼供養は、納骨式と同じタイミングで行う場合が多いです。この開眼供養の由来としては、歴史は古く、一説には、奈良時代にまで遡ると言われているのです。それは、東大寺の大仏を建立した聖武天皇がその始まりという記録が残っています。752年、大仏殿の前で行われた、大規模な開眼供養の記述が「続日本紀」にあります。参列者が1万人にも及んだということで、大変華やかで、豪勢な供養だったとことが想像されます。
それでは、開眼供養に必要な準備にはどのようなものがあるでしょうか。まず、菩提寺で読経をしてもらう僧侶の手配が必要です。混み合う時期を考慮して、1ヶ月前程度の余裕を持って連絡しましょう。菩提寺がわからない、または交流がないという場合は、霊園や石材店に相談してみてください。必ずしも菩提寺でなくとも、ご家庭の宗派と同じ寺院でしたら、問題はないでしょう。日時が決定したら、参列してもらう人たち、親戚や、故人が親しくしていた友人知人に案内状を送るなど、連絡を入れます。開眼供養終了後、会食をする場合は、会場の手配も必要です。日が近づきましたら、新しく購入したお墓の清掃も忘れず行いましょう。水で固く絞ったやわらかい布で墓石をふき、乾拭きで水分を取ります。お墓回りの清掃も心を込めて行いましょう。
また、当日までに祭壇やお供え物の準備をし、僧侶に渡すお布施も用意しておきます。僧侶へのお布施の準備については、注意しなければいけないことがあります。それは、開眼供養のみか、納骨式も同時に行うのかということです。開眼供養のみであれば、新しいお墓の建立としてお祝いとみなします。そのため、開眼御礼などと表書きし、お祝い用の祝儀袋に入れて渡します。一方、納骨式を合わせて行う場合は、お祝いではありませんので、白封筒にお布施と表書きして渡します。
のお供えものについて
開眼供養の準備として、当日までに用意するお供えについて説明します。あらかじめ、お供えをのせる祭壇、または小机を準備しておくとよいでしょう。供花としては、定番である菊、百合、蘭などがおすすめです。とげのある花や、色が華美なもの、しおれやすい花は避け、お墓の近隣の店で購入するなどの工夫で、花の劣化を防ぎましょう。お供え物としては、季節の果物や焼き菓子がふさわしいです。また、例えばコーヒーやお酒など、故人が好きだった嗜好品などもお供えします。法要が終わり次第、供物は残さず持ち帰ることで、腐敗やカラスによる被害を防ぐようにしてください。
開眼供養は、一生のうち何度も経験することではありません。そのため、何を準備すればよいのか、当日の流れなど、施主が不安に思うことも多々あるかと思います。お墓を完成へと導く大切な最後の儀式です。宗派や地域の習慣、ご親族の方々のご意向も踏まえて、一族のお祝い事である開眼供養が特別な日となりますよう、ご準備を念入りになさってください。