お墓参りなどに行った際に、文字のようなものの羅列が書いてある大きな板状のものが気になったことはありませんか?
先がギザギザとした形になっていて、薄っぺらく細長い木の板。あの木の板(棒)の名前は「卒塔婆(そとば)」といいます。良く見かけるけど、実際何に使われているのか、どんな意味があるのか、知らない方も多いのではないでしょうか。
今回はその「卒塔婆」について解説していきます。
卒塔婆の意味とは
卒塔婆とは、ご先祖様や亡くなられた方を、供養するために使われるものです。「卒塔婆を立てる」と言いますが、実際に卒塔婆はお墓に立てて使います。卒塔婆を立てることは、仏教の教えにおいて善いこととされていて、供養する人の善い行いになると共に、故人の供養にもなると言われています。しかし、地域性や宗派によって、卒塔婆を立てる風習がない場合もあるので、立てる時には詳しい人やまず住職に確認をするのが大切です。
卒塔婆に書かれている文字の羅列のようなものにはどのようなことが書いてあるのでしょうか?それぞれ宗派やお寺によって詳しい内容は異なりますが、一般的には、「戒名」、「命日」、「経文」、「梵字」、「施主名」、「供養年月日」が書かれています。
それぞれ説明すると、戒名は、亡くなってから付けられる新たなお名前で、法名とも呼ばれます。命日は、亡くなった日時。経文としては、宗教によって内容は変わりますが、お経が書かれているということです。梵字(ぼんじ)というのは、キャ、カ、ラ、バ、アの中から、供養日に縁のある意味のある、一文字が書かれます。そして、施主として、卒塔婆を立てることを依頼した方の名前が書かれ、最後に日付が入ります。
近年では、墨で書き入れられたものだけでなく、プリントされた卒塔婆も多くみられます。こちらは費用を抑えられることもあり、利用する方も増えています。
また、形ですが、細長くてギザギザしている先が特徴的ですが、それは五重塔を模して造られています。この形にも様々な種類があるので、お墓参りの際は注目してみると良いかもしれません。
卒塔婆を処分する際に注意したいこと
卒塔婆には、ご先祖様の供養、そして供養する側の人にも善い行いとされていますが、その卒塔婆の追善供養はずっと続くわけではなく、立てたその1日だけの功徳とされています。ですので、お墓参りの時に卒塔婆を立てたとしたら、その1日が終われば役目が終わり、ただの板切れになってしまいます。なので、その卒塔婆を自分たちでゴミとして処分しても問題はないのです。しかし、ゴミとして扱うことに抵抗を感じた際には、お寺の管理者に相談して、処分をお願いしましょう。お焚き上げしてもらうこともできるでしょう。ほとんどの場合は無料で処分してもらえますが、お焚き上げ料金として、卒塔婆一本につき1,000円前後料金をとる場合もあります。また、卒塔婆は1日の役割を終えたら処分されて良いものなのですが、ほとんどの場合、次の法事まで放置されその場に残っています。お墓に大量の卒塔婆が立てかけられているのを見かけたことがあるという人も多いのではないでしょうか。卒塔婆の素材は木でできているため、劣化も早く、お墓の景観を悪くしてしまう原因にもなりやすいので、早めに処分できる方法も考えておくと良いでしょう。
卒塔婆を見かけることは少なくはなかったはずですが、どんな意味があったのか意外と知らなかった人もいるのではないでしょうか。卒塔婆は、亡くなった方の供養だけでなく、供養する側の人の追善供養にもなります。生きている人と亡くなったご先祖様とを繋ぐ大事なツールともいえるでしょう。今度お墓参りをする際には、卒塔婆に書いてある文字をよく見て、理解しようとするのも良いかもしれませんね。