魂抜きという儀式を知っているでしょうか。これは、お墓から遺骨を出す時などに行う法要です。新しいお墓を購入した時、お墓を使用する前に僧侶を呼んで、魂入れを行います。お墓は魂が宿った霊験のあるものですから、勝手にお骨を取り出したり、入れたりはできません。お墓に入っている魂を抜き、単なる「石」に戻すことが必要なのです。このための儀式が魂抜きです。
魂抜きは、どんな時に必要でしょうか?
まず、魂抜きをするタイミングを考えてみましょう。お墓をリフォーム(改装)する時、お墓を移動する時や墓じまいする時、また、今あるお墓へ追加して戒名を彫刻する時も必要な場合がありますが、これは、宗派によっても違いますので、菩提寺に相談することが必要です。
まず、お墓のリフォーム(改装)とは、今あるお墓を再生することです。お墓が古くなって損傷した部分を手入れし、新しくすることです。また、お墓を移動する時とは、いわば、お墓の引っ越しにあたります。これには、今あるお墓をそのまま別の場所に移す場合と、今あるお墓を処分して、別の場所に新しいお墓を建てる場合があります。墓じまいとは、お墓の継承者がいないなどのやむ負えない理由で、今あるお墓を撤去することです。
魂抜きは何をするの?準備はどうする?
それでは、魂入れではどのようなことを行なうのでしょうか。また、具体的にどのような準備が必要になるのでしょうか。まず、どのような仏事でもそうですが、お墓に関わる親族や家族とよく話し合い、承諾を得てから日程を決めます。先に述べたとおり、魂抜きの儀式を行う場合というのは、お墓の改装、移動、処分など大変重要な行事であります。関係する一族の承諾なしには進められません。日程の候補が決まりましたら菩提寺に連絡し、当日読経をしてもらうための予約を入れます。また、遺骨を取り出す時に立ち会いが必要なため、石材店にも予約を入れます。魂抜きが必要な理由も明確に伝えましょう。
魂抜きの日程が決まりましたら、準備するものを揃えてください。準備するものは、五供と呼ばれる、線香、ロウソク、供花、供物、水です。線香やろうそく、供花は普段お墓参りで使用するものでかまいません。水は、お墓にあるものを使用します。供物は、お酒や、日持ちするお菓子や季節の果物など、また故人が好きだったものなどを用意します。お布施は、魂抜きの場合、相場は1〜5万ほどです。これにお車代やお膳料なども加えておおよそ、3万5千円ほどとなります。お布施に関しましては、菩提寺に相談することも可能ですが、金額の相談に躊躇してしまう時には、常識的な判断で用意するとよいでしょう。
僧侶の読経後、遺骨を取り出す時には、石材店の方にも立ち会っていただきます。また、お墓はすでに魂を抜いてありますので、お墓参りはしません。再び魂入れの法要が終わった時点でお墓参りをしてください。一連の儀式が終わりましたら、会食というながれになります。魂抜きの儀式に参列する際の服装としては、小規模なものでしたら、普段のお墓参りの時の服装、平服でかまいませんが、華美な服装や肌の露出が多い服装は避けてください。墓じまいなど、重要な行事がある場合は、親族と相談して、喪服を着る場合もあります。
魂抜きの法要は、お墓に入っているご先祖様や、故人に、もといた場所に戻っていただく魂の供養の儀式です。魂抜きをすることで初めて、お墓に手を加えることができるようになるのです。当日、滞りなく儀式を進めるために、事前の準備をしっかりと行いましょう。親戚や家族の同意のもと心を込めて行うことで、ご先祖様や故人への更なる供養となることでしょう。